医療的ケアを伴う搬送で想定されるリスクと、体制確認の重要性
医療的ケアが必要な方の搬送では、
単に目的地まで移動することだけでなく、搬送中も必要な医療的配慮や対応を継続できるかどうかが重要になります。
一般論として、搬送中には次のような状況が起こり得ると考えられます。
・気管分泌物などの貯留により、吸引が必要になる
・換気状態や分泌物の影響で、血中酸素飽和度(SpO₂)が低下する
・酸素使用中に、酸素ボンベの残量(残圧)管理が重要になる
・体動や移乗の際に、カニューレや回路がずれたり外れたりする
・長距離搬送で同一体位が続き、呼吸・循環・褥瘡への配慮が必要になる
これらは必ず起こるものではありませんが、
起こり得ることを前提に準備しておくことが、安全な搬送につながります。
そのため、医療的ケアを伴う搬送では、
「どのような車両か」「どこまで対応できるか」だけでなく、
どのような医療職が同乗し、搬送中にどのような対応が可能かを事前に確認することが重要です。
具体的には、
・看護師が同乗し、吸引や酸素管理、体位調整などの医療処置を継続できるか
・救急救命士が同乗し、搬送中の急変時に応急処置を実施できる体制か
・使用する医療機器(酸素、吸引器、モニター等)が整備されているか
・長距離搬送時の体位変換や休憩の考え方
といった点を、事前に事業者へ確認しておくことが望まれます。
患者等搬送事業者(一般に「民間救急」と呼ばれる)であっても、
対応体制や人員配置、医療機器の有無には事業者ごとの差があります。
医療的ケアが必要な搬送では、
「ただ運ぶ」のではなく、必要な医療的対応を継続しながら安全に移動できる体制かどうかを重視して、
事業者を選択することが大切です。