撮影現場の安全を支える
“現場判断力”と“医療的即応力”
なぜロケ撮影で救急救命士が必要とされているのか
映画・ドラマ・CM・番組制作におけるロケ撮影は、
長時間・屋外・地方など、医療的リスクが高まりやすい環境で行われることが少なくありません。
撮影現場では、出演者やスタッフの体調不良、転倒や外傷など、
突発的なトラブルが発生する可能性があります。
こうした状況において近年注目されているのが、
救急救命士の現場配置です。
本ページでは、
ロケ撮影において救急救命士が必要とされる理由を、
撮影現場の特性とあわせて解説します。
救急救命士とはどのような専門職か
救急救命士は、救急現場において
医療機関へ搬送されるまでの初期対応・判断を担う専門職です。
救急救命士の主な役割
- 呼吸・循環・意識状態の評価
- 外傷・急変時の初期対応
- 救急要請(119)の判断
- 医療機関・搬送機関との連携
- 緊急時の現場指揮・判断
救急救命士の最大の特徴は、
**「現場で判断し、次の行動につなげる力」**にあります。
ロケ撮影で救急救命士が必要な理由
① 現場で即時判断が求められるから
ロケ撮影では、
天候・地形・時間制限などの条件が刻々と変化します。
体調不良や事故が起きた際に、
「様子を見る」「休ませる」「救急要請をする」
といった判断をその場で即時に行う必要があります。
救急救命士は、
医学的根拠に基づき、現場で判断を下すことができます。
② 地方ロケでは医療機関まで距離があるから
地方ロケでは、
最寄りの医療機関まで数十分以上かかるケースも珍しくありません。
救急救命士が現場にいることで、
搬送が必要かどうかの判断を現場で完結でき、
対応の遅れによるリスクを減らすことができます。
③ 外傷・急変への対応力が高いから
ロケ撮影では、
転倒・打撲・切創・熱中症・低体温など、
さまざまなリスクが想定されます。
救急救命士は、
外傷や急変に対する初動対応を専門的に訓練された職種であり、
緊急性の高い場面で力を発揮します。
④ 救急要請の判断を的確に行えるから
撮影現場では、
「救急車を呼ぶべきかどうか」で迷う場面が少なくありません。
救急救命士がいることで、
症状の重症度を評価し、
適切なタイミングで救急要請を判断できます。
⑤ 制作会社の安全配慮を説明できるから
制作会社は、
万が一の際に「どのような安全配慮を行っていたか」を
説明する責任を負います。
救急救命士を配置していることは、
安全配慮・リスクマネジメントを行っていた合理的な根拠となり、
社内・クライアント・放送局への説明にも耐えうる体制となります。
看護師と救急救命士の役割の違い
| 項目 | 看護師 | 救急救命士 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 医療的ケア・観察 | 緊急対応・現場判断 |
| 判断の特性 | 医療管理寄り | 救急・搬送判断寄り |
| 活躍場面 | 継続的な体調管理 | 急変・事故時の初動 |
両者は対立するものではなく、
互いを補完する存在です。
撮影現場では、状況に応じた組み合わせが重要となります。
救急救命士がいることで現場はどう変わるか
初動対応が早くなる
体調不良や事故が起きた際、
その場で評価・対応ができることで、
重症化のリスクを下げることができます。
不確実な判断が減る
経験や勘に頼らず、
医学的判断に基づく対応が可能になります。
撮影進行の安定につながる
判断の迷いが減ることで、
現場の混乱を防ぎ、撮影進行の安定に寄与します。
まとめ|ロケ撮影では救急救命士が“現場力”になる
ロケ撮影においては、
単なる応急処置だけでなく、
判断・対応・搬送までを見据えた体制が求められます。
救急救命士は、
その現場判断力と即応力により、
撮影現場の安全配慮とリスクマネジメントを強力に支える存在です。
撮影内容やロケ環境に応じて、
救急救命士の配置を検討することは、
安心できる撮影現場づくりにつながります。