第2回:民間搬送サービスの利用が必要なケースとは?
精神疾患患者の搬送は、必ずしも精神保健福祉法に基づく対応や救急車が必要な場合だけではありません。
自傷や他害のリスクは低いものの、在宅での生活が困難となり、適切な治療やケアが必要な方も少なくないのです。
今回は、どのようなケースで民間搬送サービスの利用が適しているのか、具体的な事例を交えてご紹介します。
自傷他害の恐れがないが在宅生活が困難なケース
民間搬送サービスが求められるのは、主に「暴力や自傷行為はないが、このままでは在宅生活が維持できない」という状況です。
具体的な例を挙げると
・著しい無気力・無関心
→ うつ状態により日常生活のすべてに無関心となり、食事や入浴もできず寝たきりになっている。
・幻覚・妄想による生活障害
→ 統合失調症の症状で周囲への疑念が強まり、家族とのコミュニケーションが困難。物音や周囲の気配に過敏に反応する。
・認知機能の低下による徘徊や混乱
→ 認知症の進行で、昼夜逆転や外出先での迷子が頻発。介護者の負担が限界に達している。
・長期の引きこもり状態
→ 社会不安障害やうつにより、数年にわたって自宅から出られず、治療機会を失っている。
これらの状態では、本人の安全と今後の生活支援のためにも、できるだけ早く医療的な支援に繋ぐことが重要です。
しかし、家族だけで受診を促したり、移動をサポートするのは非常に困難なケースが多いため、民間搬送サービスが大きな役割を果たします。
家族だけでの搬送が難しい状況とは
精神疾患患者の搬送は、たとえ暴力がない場合でも、家族だけで対応するには大きなリスクや負担を伴います。
例えば…
・移動中に突然パニックを起こす可能性
・症状への対応方法が分からず、家族が困惑する
・タクシーや公共交通機関を利用できない(運転手・他乗客への配慮が必要)
また、家族自身も精神的・肉体的な疲弊から冷静な対応ができなくなっている場合もあり、無理な搬送は二次的なトラブルにつながる危険があります。
民間搬送サービスでは、事前に本人の状況を把握し、患者に応じた最適な搬送方法を計画するため、家族の負担を最小限に抑えつつ、安全かつ穏やかな移送を実現できます。
まとめ
民間搬送サービスは、
・自傷他害のリスクはないが在宅生活が困難
・家族だけでは安全に移送できない
・本人が適切な医療・福祉支援に繋がる必要がある
そんな状況で、大きな力を発揮します。
精神疾患患者の搬送に悩んだら、早めに民間搬送サービスへ相談することが、本人と家族双方にとって最善の選択となるでしょう。
(次回予告)
次回は、搬送時における家族との関係性への配慮について詳しく解説します!
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