第3回:搬送時における家族との関係性への配慮
精神疾患患者の搬送は、単なる移動作業ではありません。
患者本人だけでなく、支える家族の心情にも細やかに配慮することが不可欠です。
今回は、搬送時において患者と家族の関係性にどのような配慮が必要かについて、詳しく解説します。
家族の不安や葛藤への対応
精神疾患を持つ家族を搬送する決断は、家族にとって非常に重いものです。
「無理やり病院に連れていっていいのか」
「本人に恨まれるのではないか」
「このまま在宅で支えるべきではないか」
多くのご家族は、このような不安や葛藤を抱えながら搬送依頼に至っています。
民間搬送サービスでは、単に患者を搬送するだけでなく、家族のこうした想いにも寄り添うことが大切です。
搬送前の相談時には、
家族の不安を受け止める
決断を責めない
「治療に繋げることが最善の選択です」と背中を押す
といった、心理的サポートも行っています。
家族に「あなたの判断は間違っていない」という安心感を持ってもらうことが、搬送をスムーズに進める第一歩です。
患者との信頼関係を損なわないための工夫
搬送をきっかけに、患者本人と家族の信頼関係が壊れてしまうのでは?
これも家族が抱える大きな不安の一つです。
そのため、民間搬送サービスでは、できる限り穏やかに、本人の尊厳を守る搬送を心がけています。
例えば…
「治療のために少しお出かけしましょう」といった前向きな声かけを行う
家族が無理に説得しようとせず、搬送スタッフが第三者として自然に誘導する
こうした工夫により、本人に「だまされた」「裏切られた」と感じさせず、信頼関係のダメージを最小限に抑えます。
また、搬送後も家族には「本人の回復が第一です。焦らず、信頼回復を目指していきましょう」と声をかけ、長期的な視点でのサポートを行います。
搬送前の家族との打ち合わせの重要性
スムーズで安全な搬送を実現するためには、搬送前の家族との綿密な打ち合わせが欠かせません。
打ち合わせでは、例えば以下の内容を確認します。
・本人のこれまでの病歴・症状
・搬送当日の状態予測(興奮しやすい時間帯・落ち着きやすい状況など)
・本人が安心できる言葉や行動パターン
・家族が同席するか否かの判断(同席が逆効果となる場合もあります)
などなど。
この事前打ち合わせにより、家族も心の準備ができ、搬送当日を落ち着いて迎えることが可能になります。
まとめ
精神疾患患者の搬送では、患者本人だけでなく、支える家族への配慮が極めて重要です。
・家族の不安や葛藤に寄り添う
・搬送による信頼関係の損失を防ぐ工夫をする
・搬送前に丁寧な打ち合わせを行い、家族と連携する
これらを徹底することで、搬送は単なる「移動」ではなく、本人と家族の未来を支える第一歩となります。
「どう対応すればいいかわからない」「本人との関係が壊れるのが怖い」と悩むご家族こそ、民間搬送サービスの支援をぜひご活用ください。
(次回予告)
次回は、民間搬送サービスの具体的な流れと対応について、詳しくご紹介します!
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